会社のトレーニング資料で話をするときにも、Scrum.org 公式のスクラムガイドを使って社外の人に話をするときにも、初めてスクラムを勉強する人のために概要を説明するときに、必ず伝えるようにしていることがあります。それは「アジャイルは文化に踏み込む、そうじゃないと勝てない!」というお話です。
Scrum.org スクラムガイド(日本語ダウンロードできます)
従来のウォーターフォール(PMBOK)では、プロセスやドキュメントに注目していて、組織の文化は問われませんでした。
しかし、アジャイル(スクラムガイド)には、スクラムの5つの価値基準として「確約(Commitment)、集中(Focus)、公開(Openness)、尊敬(Respect)、勇気(Courage)」があげられています。スクラムが成功するかどうか?は、チームのメンバーがこの価値基準を実践できるかどうか?にかかっていると明記されています。
尊敬や勇気なんて、ウォーターフォールでは求められなかったことです。公開についてはむしろ逆に、顧客と社内で別の資料を使って管理するなんてのも当たり前だった・・・かもしれません。しかし、アジャイルはそれじゃうまくいかない、と言っている。これは、初めてアジャイル(Scrum)に取り組もうとしている人にとっては、なかなか感覚的に受け入れらえない。イメージしずらいことだと思います。
ですが、信頼しあっているチームの方が、生産的で価値を生み出せるってのは、そりゃそうだって、素直に思いますよね。自分たちがそうでなかったとしても、世界のどこかにはそうやって成果を上げている人もいるかもしれない。しかし、スクラムガイドは、自分たちチームメンバーにそれを要求しているです。そういうチームでなければ(他のそういう文化のチームと比べて生産性で)勝てない!と言っているんです。
と、いう話をして、この組織・プロジェクト・偉い人が(プロジェクトではないアジャイルのトレーニングで話しているときは「あなたがアジャイルのプロジェクトに参加した時は」という感じで)アジャイルをやるといった時には、高い生産性のチームになるために、自分の文化を変えることも求められているということを伝えます。
もちろん、残念ながらこの話をしただけで、さぁ、すぐに考えが変えられるか、というとそれはなかなか難しいとは思います。アジャイルコーチやスクラムマスタとして参加するときには、中長期的にチームの様子を観察して、チームの「検査」と「適用」がうまくいくようにコーチングしていく必要があります。ただ、こういう話を、(スクラムガイドではかなり序盤で話すことになるので)事前にしておくことで、自分はやれる・変われるとイメージができた人は、前向きに取り組みやすくなるかも・・・あるいは少なくとも、Scrum But や Zombie Scrum にならないように、ちゃんとチームを見ていくよ、という姿勢は伝えられるように思います。どうでしょうか?