Scrum のスプリント計画での「よくある勘違い」として、最初に全 Task を各メンバーに振ってしまうというのがあります。

ウォーターフォールでの慣習・考え方では当然のことのように思うかもしれませんが、これはうまくいかないことが多いです。

「自分のタスク」という考え方がうまくいかない

Scrum では Task は誰のものでもありません。自分で残っている Task から選んで、In Progress にして作業を開始します。

自分の In Progress の Task を完了させて、Done にした後、次に残っている To Do から Task を選ぶためには、Task を人に振っていない(アサインしていない)ことが必要です。普通は、誰か他の人の名前が入っていたら、その人を押しのけて自分がやるなんてことできないですよね。よく「自分のタスクが終わったので手伝います」というのを期待するような文化があったりしますが、それは心理的な負担が高くて無茶というものです。

「自分のタスク」や「他の人のタスク」ではなく、「チーム全員の誰がやってもいいタスク」だからこそ、次々にタスクを自分で取って、やることが出来るのです。

時間いっぱいちょうどで終わらせようとする

もし、「自分のタスクが終わったので手伝います」というマインドの人がいたとしても、もうひとつうまくいかないポイントがあります。普通はタスクが予定より早く終わったら、「ちゃんとできていなかな」と再確認をするのに時間を使ったり、あるいは早く終わらせるのではなく、予定されている時間を全部使ってちょうどに終わるように調整する。それが一般的ということです。

スプリントの開始時に、自分のタスクが全部決まっていると、ちょうどスプリントの終了の前に、自分のタスクが全部終わるように時間の使い方を計画してしまいます。そうすると、仕事のうまい人ほど、ちょうどに終わるように時間を使っているので、Task の実施に予想よりも時間がかかった人がいた場合に、その人のタスクを代わりにやる余裕がありません。結果、全体として遅れてしまい、スプリントで何も完成させられない、ということになってしまうのです。

デイリースクラムで1日分の自分の Task を取る

プリント計画で Task をすべて洗い出すことが出来たとしても、その Task に名前をいれてアサインしてしまうようなことはやらないように注意します。「人のタスク」という管理をやめましょう。

代わりに、デイリースクラムで、次の1日間で自分がやる Task を取る。それぞれが自分の Task をとって、次のデイリースクラムまでに終わらせるように頑張る、という風にします。もし予定より早く終わったら、デイリースクラムを待たずに To Do から Task をとっても構わないということも、チーム全員でよく覚えておきます。

これだけで(To Do のタスクを全部人に振ってしまうのに比べて)ずっとタスクを早く終わらせられるようになって、例えば「スプリントで予定していたバックログが全然完成しない」というような状態から抜け出せると思います。

PBI には人をアサインしない

もちろん、プロダクトバックログ / スプリントバックログ は Scrum チーム全員のもので、誰かの担当ということはありません。PBI に誰かをアサインしてしまうと、PBI がタスクのようになってしまって、アサインされた人が PBI をひとりで完了させなけれならないかのようになってしまいます。PBI には人をアサインしないようにしましょう。

Azure DevOps ではビューの設定を変えてしまうのがよいです。

コメント