アジャイル(Scrum)のトレーニング講師をしていると、ストーリーポイントでの相対見積もりが難しいという感想をよく聞きます。時間で見積もる方が簡単でイメージしやすいと。
確かに時間で見積もる方が直感的かもしれません。でも実は、相対見積もりの方が良い、わかりやすくてイメージしやすいのを、マイクラのエンドラ討伐で例えて解説してみたいと思います。
あなたは1週間でエンドラ討伐を何回出来るか?見積もれますか?
目次
エンドラ討伐を見積もれるか?
自分と友達などの数名のチームで、例えば1週間とか2週間とかの間に、何回エンドラ討伐ができるでしょうか?マイクラが得意なら1日でも。RTA走者なら1時間に何回討伐できるか?でも。自分たちの実力に合わせて決めたある期間の間に、新しいワールドを作ってエンダードラゴンを倒してエンディングを見るのを何回できるか?考えてみてください。
例えば、あなたは有名なYouTuberで、あなたのチームは1週間に数回集まってマインクラフトの動画を撮ることになりました。エンドラ討伐の動画を撮るとすると、1週間に何本動画を出せそうでしょうか?
マインクラフトはできるけど、自分じゃエンドラ討伐は無理だぁ!イメージできない!という方は、ドズル社 のメンバーで予想してみてもOKです。1時間で何回エンドラ討伐できそうでしょうか?おんりーさんなら15分前後でいける?ぼんさんはもうちょっとかかる?でもあれ?沼ってるときはもっと時間かかってそうな気が・・・それは鬼畜企画だからだっけ・・・?
エンドラ討伐でやることは?
ここでエンダードラゴンを倒すまでにやらなければならないことを整理してみます。
- エンダーアイを集める
- エンダーアイを使って、要塞を見つける
- エンドポータルにエンダーアイを12個はめてエンドに行く
- エンドでエンダードラゴンを倒す
エンダーアイはエンダーパールとブレイズパウダーで作れます。

エンダーパールはエンダーマンを倒すとドロップ。ネザーの青森(歪んだ森)が見つかると集めやすいです。あるいは村人(司祭)と取引したり、ピグリンと交易したりしても手に入ります。要塞のチェストに入っていることもあります。
ブレイズパウダーはブレイズロッドからクラフト。ブレイズロッドはネザーでブレイズを倒すとドロップ。ネザー要塞のスポーナーを見つけられれば集めやすいです。
要塞を探すためにエンダーアイを投げると、時々割れてしまうので、数を少し多めに用意したいです。エンドポータルには確率でいくつかエンダーアイが最初からはまっていますが、足りないとまたパールやロッドを集めに行かなければならないので、余裕をもって14個~ のエンダーアイを用意してから要塞に向かいたいところです。
そしてパールやロッドを集めるためにネザーに行くためには、ネザーゲート(ネザーポータル)が必要です。ゲートは黒曜石10個で作れますが、黒曜石を掘るにはダイヤのツルハシが必要なので、代わりにマグマと水で作るのが定番?です。マグマだまりや廃ポータル(荒廃したポータル)の下でマグマがとれると早いです。マグマと水を汲むのにバケツが必要なので、鉄も必要です。ゲートを開くために 火打石と打ち金 を使うので、そこでも鉄を使います。
鉄は洞窟などを掘るか、村のチェストなどから(アイアンゴーレムを倒しても)入手できます。
そしていよいよエンダードラゴンを倒すために必要な装備を用意します。ベッド爆破ができる人ならベッドをたくさん用意する代わりに、エンドクリスタルは壊さなくていいので時間短縮。いやいやここは確実に弓矢を十分用意して挑む!のもありです。もちろん道中と戦闘中にやられないように盾やチェストプレートなど基本的な装備も必要ですよね(よっぽどうまい人じゃなければ)。
ということで、もう一度整理すると
- 鉄とマグマを見つけネザーゲートを作る
- ネザー要塞でブレイズを倒してロッドを8本くらい集める
- ネザーの青森でエンダーマンを倒してパールを14個以上集める
- エンダーアイを作って要塞を見つけてポータルを開く
- エンダードラゴンを倒す

これが基本的な流れになります。
ブレる要素は?
これを順にこなせばエンダードラゴンを倒すことができる!ということは、このそれぞれにかかる時間がわかれば、決まった時間に何回エンドラ討伐ができるか?見積もれるということですね・・・本当に?
そう簡単にいかないのがマインクラフトの面白いところ。
ワールドがランダムで、毎回新しい世界でゲームを始めるたびに、全然違う地形で始まるんですよね。同じ世界の違う場所から始まるとかでもなく、完全に新しく作られた別の世界で始まります。
そこではまず、どんなものでも必ずすぐに見つかるとは限らない。スタートしてすぐ村が見つかる場合もあれば、行けども行けども村が見つからない場合もあります。もちろんすぐに村があれば、すぐに鉄が手に入るかもしれない。そうでなければ、とりあえずツールを整えつつ、洞窟に鉄がないか?探したり、ツルハシで地面を掘って探す必要があるかもしれません。暗い洞窟や夜にはモンスターに襲われるかも。村さえあればベッドを借りて安全に夜を過ごせる(夜の時間をスキップできる)のに・・・
村があるか?ないか?で、もうこんなにかかる時間が変わってしまいます。
マグマだまりが見つかるか?でネザーに行くまで時間が変わり、ネザーで要塞や青森が見つかるかどうか?でエンダーアイが集まるまでの時間がかわります。なかなか見つからんければ、取引などの別の方法も・・・それはそれで時間がかかるのですが、それも検討しなければなりません。
ブレる要素はそれだけではありません。プレーヤーのスキルが最もかかる時間に影響します。
うまい人は、もう最初から移動速度が違います。水バケツやボートなど、高いところから安全に下りられる技も。敵MOBとのバトルも、受けるダメージが少ない自身があれば最小限の装備で進めます。自信がなければ、鉄のフル装備やピグリンに襲われない金装備を何かを用意してからネザーに・・・と時間がだいぶかかります。そして、たとえやられたとしても、アイテムを回収して復帰できるリカバリも腕の見せ所でしょうか。
私は初めてエンダードラゴンを倒すまで2か月くらいかかりました。
きっとドズル社のメンバーなら、どんな過酷なワールドでも30分~1時間くらいでエンドラ討伐できそうです。
ちなみにワールドが神(最も良い条件)で、黒曜石が必要な個数、スタート地点近くのチェストに入っていて、エンダーアイがポータルに最初から12個ハマっていて、そこの座標もはっきりわかっているセットシードの(ランダムではない決まった)ワールドでのRTAでは、最速2分くらいでエンドラ討伐できるらしいです。
同じワールドで、ドズルさん、ぼんさん、ネコおじの3人でチャレンジしたときは、何分でエンドラ討伐できたんでしたっけ?
エンドラ討伐を時間で見積もれるか?
RTA最速は参考にならないので無視するとして、ブレる要素はあるものの、かかる時間を想定して積み上げてみましょうか。
- 鉄&マグマでネザーゲート作るのに 10分くらい?
- ロッド集めるのに 10分くらい?
- パール集めるのに 10分くらい?
- エンドポータル見つけるのに 10分くらい?
- エンドラ倒すのに 5分くらい?
トータルで45分くらいでエンドラ討伐行ける・・・のか?
いやいやいやいや
- 村が全然なかったらネザーゲートまで10分無理では?
- ネザー要塞なかったらロッド10分無理では?
- 青森なかったらパール10分いける?
- アイが割れまくったら10分で行ける?
- エンドラなかなか降りてこないときあるし5分は無理でしょ
リスクを考え、バッファを積んで、2時間あれば行けるかな?いやいや4時間くらいないと不安だな。さすがに8時間あればいけるかな・・・
この「もしもうまくいかなかったら、最短時間では無理」というときに、それじゃぁ「どれだけバッファを積めばいいのか?」がわからないというのが正直なところではないでしょうか?
もしもの時を心配してバッファを積みすぎると、「1日に何回エンドラ討伐できそう?」「1回です」「えーもっとできると聞いてたのに、全然エンドラ討伐できないじゃん」とかになっちゃう。実際やってみたら2~3回くらいはできる実力があるチームが、1回と見積もるのは正しく見積もれてるとは言えないですよね。
逆にバッファを積まなすぎもヤバい。「1日に何回エンドラ討伐できそう?」「8回くらい行けますよ!」で、実際にできた回数が5回だと「全然エンドラ討伐できないじゃん」になっちゃう。これも正しく見積もれてるとは言えません。
正しく見積もるには準備が必要?
このワールドがランダムだというところが、時間で見積もるのがとても難しいポイントです。
エンドラ討伐するまでにやらなければならないことは明確にわかっています。そのそれぞれを自分たちができるか?できないかもだいたいイメージできそうです。もし村や青森が見つからなくても、代わりに何をすればいいか?もわかっています。ゴールまでの道のりをどのルートで進めるか?早めに判断できればタイムロスを最小限にすることはできそうです。せめてどんなワールド?わかればもうちょっと正しく見積もることができるのに!そう思いますよね。
では新しいワールドを作った後に、誰かが先にクリエイティブモードやインスペクターモードでワールドを自由に確認出来たらどうでしょうか?
- 初期リスポーン地点のバイオームは何か?近くに村があるか?
- 近くにマグマだまりはあるか?廃ポータルはあるか?
- どこにネザーゲートを作れそうか?そこからネザーに入ったらどんな場所に出るか?
- ネザー要塞はあるか?青森はあるか?
できる限りワールドを事前に調べておいて、同じワールドで(同じシード値で作ったワールドで)エンドラ討伐をするなら、ある程度正確に計画を立てて見積もれそうです。
これはソフトウェア開発でいえば、(アジャイルではなく)ウォーターフォールで開発するときの見積もりです。やるべきことは決まっている。お客様の業務や要件によって多少状況が異なることがあっても、それらを事前に丁寧にヒアリングして(=ワールドをインスペクターモードで見て)計画を立てて見積もる。あとはこの計画に従って開発(=エンドラ討伐)すればいい。
でもこれでは(ランダムシードのエンドラ討伐ではなく)セットシードのエンドラ討伐になっちゃうんですよね。つまりウォーターフォールはセットシードのエンドラ討伐RTA。事前にワールドの様子がわかっていればある程度時間で正確に見積もれる。
逆にワールドがどうなっているか?わからないなら、やはり時間で正確に見積もることはできない。このワールドが事前にわからない状況が、ソフトウェア開発では「アジャイルでなければ開発できない状況」です。つまりアジャイルはランダムシードのエンドラ討伐。事前にワールドを見ないでエンドラ討伐を見積もれるか?がポイントになります。
実績から見積もる
エンドラ討伐を時間で見積もるのは難しいのはイメージできました。ではアジャイル(Scrum)のトレーニングで教わる「ストーリーポイントでの相対見積もり」なら見積もれるのでしょうか?
ストーリーポイントの数字を考えるのは、なかなかイメージするのが難しいことがわかっていますので、まず最初は数字は考えないで、シンプルに見積もりの仕方だけイメージしてみましょう。
あるチームが次のスプリント(1日)に何回エンドラ討伐できるか?見積もります。ワールドは毎回ランダムです。
このチームは前回のスプリント(1日)で、エンドラ討伐を4回できました。
その実績から考えて、次のスプリント(1日)では4回エンドラ討伐をできると見積もりました。
まずはこれがアジャイル(Scrum)での見積もりの基本です。チームのこれまでの実績から、次のスプリントの見積もりを行います。
「同じ期間で同じ回数できるのは、そんなの当たり前だろ」「それで見積もりになっているのか?」と思った方は、思い出してください!ワールドは毎回完全にランダムなんですよ?前回、4回エンドラ討伐を成功したワールドと、次にエンドラ討伐にチャレンジするワールドは全く違います。そこでまた4回エンドラ討伐をできるのなんて、保証できるんでしょうか?
もちろん保証できません。ワールドの運が悪ければ思った以上に時間がかかってしまうかもしれません。逆に、チームのスキルが上がっていて、もっと早くエンドラ討伐をできるようになって、早く終わってエンドラ討伐1回分の時間が余ってしまうかもしれません。それでも全く見積もれないよりは良い。
正確に見積もれないから始められない、ではアジャイルはできません。正確に見積もれないから、ウォーターフォールではなくアジャイルでやるのですから。正確ではないかもしれないが、おおよそでもいいので見積もって、やってみる。それを繰り返してできるだけ正しく見積もれるようになっていく。それがスクラムチームに求められることです。
今回の例では、あなたは有名なYouTuberで、あなたのチームは今週エンドラ討伐の動画を何本出せそうか?検討しているところです。もし4回エンドラ討伐をできる計画で撮影を始めて、実際に3回しかエンドラ討伐ができなくても、何とか他のストック動画とかを組み合わせて今週は乗り切れるかもしれません。計画通りにいけば嬉しいし、そうならないときのための計画も併せて用意しておくのが重要です。しかし、何本動画が撮れるか?全く予想ができないのでは、そういう計画も準備も何もできないのです。もちろん適当に「100回できる!」と予想して実際には3回しかできなかった!というような計画では、役に立つ計画とは言えませんから、ある程度は予測が当たらなければならないのが難しいところです。
「全くやったことがないことは見積もれない」のは、それはそうです。とは言え、ワールドがたとえ違ったとしても、エンドラ討伐の流れ自体は何度もやったことがあってよくわかっている。ワールドの違いだけがわからない。わからないけど、だいたい同じぐらいでできるんじゃない?という見積もりです。実際に何回もエンドラ討伐をやってみると、毎回同じ時間でできるわけではないけれど、そうはいっても大きく外れる回数もそこまで多くないことがわかります。1回のエンドラ討伐の時間を見積もるのは難しくても、決まったある期間の間に大体何回できそうか?は(時々予定通りにいかないことを覚悟すれば)ある程度イメージできるはずです。
「同じエンドラ討伐でも、チームによってかかる時間が全然違う」のも、それはそうです。他のチームの実績は参考になりません。だからこそ自分たちのチームの以前の実績から、見積もりを行います。
ストーリーポイントで相対見積もりしてみる
実際のソフトウェア開発では、ずっと同じことを続けるのはなかなかないでしょう。また、先ほどの例ではシンプルに考えたので、ここまでではストーリーポイントも相対見積もりも、まだピンと来ていないと思います。
次はいよいよストーリーポイントを使った相対見積もりを、エンドラ討伐でイメージしてみます。
ランダムシードのエンドラ討伐により厳しい条件を付けたらどうでしょうか?
よくある「○○縛りプレイ」を考えるのもいいかもしれません。メンバーの1名しかクラフトできないとか、金装備禁止とか、盾禁止とか、難易度をハードコアにして復活禁止にするだけで難易度が跳ね上がり、より慎重なプレイが必要になります。当然その分時間もかかりそうです。マーケットプレイスで強力な敵MOBになるアドオンを購入してもいいかもしれません。
ドズル社の定番の「鬼畜企画」では、「○○する世界でエンドラ討伐」シリーズが最高に楽しいです。「歩いたところがTNTになる世界でエンドラ討伐!」なんて、とても一般人にはクリアできそうにないメチャクチャな企画で最高にヤバい。
逆にセットシードのエンドラ討伐をいくつか含めてもいいかもしれません。神シードのエンドラ討伐はRTA走者で2分でクリア。自分たちなら何分で行けるか?チャレンジするのもありです。他に村から始まるとか、ネザーゲート前がネザー要塞とか。他にも鬼畜企画とバランスをとるために、チート装備をマーケットプレイスで購入してエンドラ討伐をしてもいいかもしれません。
色んな条件のエンドラ討伐を考えて、その中のどれを次の1週間の動画として出せるか?考えてみることにします。
ランダムシードのエンドラ討伐 の大きさ、かかる時間や難易度を表す数字を 3 とすると、他の条件を付けたエンドラ討伐はどれくらいの数値になるでしょうか?
大きさの数値は 1、2、3、5、8、13、21 から選べます。

通常のエンドラ討伐と同じ難易度なら 3 で、簡単なら 2 や 1 にします。例えば神シードのエンドラ討伐はある程度計画が立つので、通常のエンドラ討伐よりずっと簡単で、短時間で終わりそうなので大きさを 1 としてみます。
逆に難易度の高いエンドラ討伐は、3 より大きい 5、8、13、21 から選びます。例えば金装備禁止は、ネザーでピグリンに襲われるので、チームによっては難易度が高くなって、大きさを 5 にすべきかもしれません。しかし別のとても上手なチームにとっては、普段から金装備なしでネザーに行くのが当たり前で、影響が全くないので通常のエンドラ討伐と同じ 3 で良いかもしれません。
足元TNTの世界でエンドラ討伐なんて、もう予想もできないぐらい大変そうなので 21 にする。他の強力な敵MOBや過酷なルールは、そうは言っても、8 や 13 でできるかもしれない。
正確な「かかる時間」で見積もるというよりも、通常のエンドラ討伐と比較して、相対的にどのくらいの差がありそうか?を、おおよその数値でイメージします。これがストーリーポイントによる相対見積もりです。
数値で見積もれると何が嬉しいか
色んな条件のエンドラ討伐をストーリーポイントで相対見積もりできました。これで何がうれしいかというと、数値で見積もれたことで、過去の実績の数値と比較して、次の期間でどれだけできそうか?予測できるのです。
今回の例では、あなたのチームは前回の実績として、1週間で4回エンドラ討伐をできています。また、通常のエンドラ討伐は大きさを 3 としました。つまり、あなたのチームは前回 4 × 3 = 12 を達成できたという実績があるということです。
そしてアジャイル(Scrum)の見積もりの基本として、前回の実績から考える、というのを考えると、次の1週間も合計 12 のエンドラ討伐を出来るはずです。

鬼畜な世界でエンドラ討伐 は 21 なので無理です。12より大きいので1週間ではできません。
金装備禁止と 強力な敵MOB は 5 + 8 = 13 なので、これもギリギリ無理です。
金装備禁止、盾禁止、神シード と チート装備 は 5 + 5 + 1 + 1 = 12 でこれは行けそうです。次の1週間はこの4つのエンドラ討伐を動画にする計画で行きましょう。
ちなみに、実際にエンドラ討伐をやってみて、4つすべてのエンドラ討伐に成功できれば、さらに次の1週間でも12が達成できると予想できます。この12がこのチームの1週間にできることを表す数値です。これをベロシティと呼びます。
もしすべては達成できなくても、達成できたエンドラ討伐の数字を合計した分がベロシティとなります。金装備禁止、盾禁止、神シード のエンドラ討伐に成功したなら、5 + 5 + 1 = 11 がベロシティです。次の1週間は 11 に収まるように計画するのがよさそうです。
この新しいベロシティが 11 になるのは、通常のエンドラ討伐 3 × 4 = 12 ができないことを意味しています。チームのコンディションやエンドラ討伐までに行うことに影響する何か(アイテムのドロップ率とか?)がマインクラフトのアップデートなどで変わっていて、本当に4回は厳しくなっているかもしれません。そうではなくて、初めてチャレンジした条件のエンドラ討伐が、思ったより難しかったのかもしれません。チート装備は 1 と見積もりましたが、本当は 2 が妥当だったのかもしれません。実際のソフトウェア開発のアジャイル(Scrum)では、チームで話し合って振り返り、チームの次の見積もりの精度を高めていきます。
最後にもう一つ、数値で見積もることができると嬉しいことがあります。それは、エンドラ討伐がどういうものか?どれだけ大変か?よくわからない人にも。数値で説明すれば納得感があるということです。
エンドラ討伐がわからない人は、1週間に4回できるとか言われても、きっと「もっとできるんじゃない?」と気軽に思ってしまいます。しかし、12 できると言っているチームに、21 やれと言うのはさすがに無理無茶を言っているというのが、自分でも自覚できるのでしょう、そんなことを要求してくる人はなかなかいません。多くの場合、12 の中でやりくりをするための話をしてくれます。それが何度もちゃんと実績を上げてきたチームであれば、なおさらです。
チームが信頼を得るためにも、数値での見積もりと実績の数値が非常に役に立ちます。
あとがき
今回、ストーリーポイントでの相対見積もりが難しいという感想を聞いて、エンドラ討伐を例に、時間で見積もる方が本当に扱いやすいのか?それともストーリーポイントで相対見積もりする方が、実は扱いやすいのか?という話を考えてみました。
これまで「マイクラのエンドラ討伐で例えれば絶対わかりやすいじゃん!」と思いつつ、ソフトウェア開発のアジャイル(Scrum)トレーニングの中で、マインクラフトを例に挙げても、果たして伝わる人が何%いるのか?と、実際のトレーニングの講師としては話をしたことがありません。
実は、アジャイル(Scrum)トレーニングをマインクラフトを使ってやってみたら、ソフトウェア開発の特定の言語が扱えなくても、みんな直感的に理解できるのでは?といった企画を考えたこともありました。しかし、ゲームの操作が得意ではない人も、3D酔いしてしまう方もいるので、会社の研修としてやるのは難しそうだと断念しました。他にも、マイクラのコマンドに長けているとか、サーバーを管理運営できるスキルがなければ、マインクラフトの世界の中で実践的なトレーニングを開催するのはなかなか難しそうです。
そんなこともあって、今まで誰にも話せていませんでしたが、今回この記事に書くことで、マインクラフトをやっている人でアジャイル(Scrum)を理解したいという方には、イメージしやすい良い例を届けることができるのではないか?と思っています。少しでも誰かの役に立てば嬉しいです。
※本ブログの内容は私個人の意見であり、所属する組織、団体、会社、またはその関連企業の見解を代表するものではありません。